“和食を薬膳で説く”‐お蕎麦と薬味‐
2021.09.22
“和食を薬膳で説く”
そろそろ新蕎麦の季節です。
一般的にイネ科が多い穀物の中でも、ソバはタデ科ソバ属に分類される植物。
お蕎麦はそのソバの実を粉末にして麺にしたものですが、米を満足につくれないような山間地域や痩せた土地での主食として、あるいは救荒食として活躍してきました。
毎日の主食となる穀物は、陰陽の偏りのない“平”の性質を持つものが多いのですが、ソバの性質は、体の熱を冷ますとされる陰性です。
お蕎麦はもともと、辛味大根のしぼり汁にお味噌を溶いた“おしぼり”で食していたようです。
辛味大根もお味噌も、陰陽の性質で言えば体を温める陽性の食材ですので、伝統的な食べ方は、陰陽のバランスがちゃんと取れていたことが分かります。
しかし近年は“おしぼり”の食べ方ではなく、蕎麦つゆで食べることが一般的ですね。
そこで、お蕎麦を頂く時は、大根おろしやワサビ・ネギ・七味などの薬味が欠かせません。
陰陽のバランスを整えるだけでなく、お蕎麦の消化を助けてくれる働きを持った辛味の食材はまさに“薬”。
ただの飾りや添え物と侮らず、ぜひお蕎麦には“薬味”を添えましょう。
それだけで、立派な“薬膳料理”になりますよ。